もし、叶う方法があるのなら。
願ったのは、叶わぬ想い



「どうされたのですか、龍炎様?」



異種の血を持つ娘は、在るべき場所へ帰らねばならない


「まだ、芳姫様を助けていません。あの方を目覚めさせるまで、ここにいたいのです」


「芳姫様が目を覚まされたぞ!」


その力があるということは、自分はこことは異質であるということ

そして辿り着いた場所で、出会う


「どうして……?」



二人には並んで笑っていて欲しいのだ。
どちらかが欠けてしまうのは耐えられない。

鈴麗

「それなら、二人は私が守るもの!」
「怖くない……そんなことくらい」



それはいつも圧倒的な存在感を持って彼を苛む。
自分が経験したものではないのに。

海苓

「こんな茶番……必ず終わらせる」
「望んでこんな風に生まれてきたわけじゃない」



自分に出来ることは寄り添うことだけ。
想いを向けることすら、今の彼には辛いことだとわかっている。

清蘭


「私は……待つわ。あなたが解放されるまで」
「彼を縛り付けるのを止めて。ただそれだけでいい」



譲れないものが自分にもあるとすれば。
それは、今のこの時間を決して失いたくないということ。

凍冶

「それが既に彼女を意識しているということなんだ」
「大事な友人が無事ならば、それでいいのさ」




それは大好きなあの人たちへ対する大いなる裏切り。


「従うのは、自分の心にだけでいい」
あんなふうに、強くありたい。


終わらせる方法は、あるのだ。


怖いことは、たったひとつ。
それ以外に何も怖いことなんてない。


「運命に飲み込まれるのよ!?」


「炎帝、鈴麗はどうした!?」

―――ただ、護りたいだけだったのだ。


そして、過去と未来はひとつに繋がる。

時の円環
―Reconstruction―


もしこれを何の疑いもなく受け入れられていたならば、
ことは平穏に済んだだろうか?

Index Next→
Page Top