6人の若き勇者が世界を救ってから、2年が経過していた。 世界はマナを無くしつつあり、だが、世界の全てが協力しあうことで、徐々に新たに歩き出そうとしていた―――。
1.予感
招待状を受け取ったとき。
三人はそれぞれ来るべき時が来たと思った。世界のためには、悪いことではないだろう。
彼女は彼を愛している。そして彼も、彼女を大切にするだろう。
彼らが招待されるのは、世界救済の仲間であり、そして、一度はこじれかけた二つの国の未来への結び付きを、他の国が認め、立ち会うという意味でもある。
ケヴィンはビーストキングダム、獣人王の息子、そして後継者として。
シャルロットは聖都ウェンデル、光の司祭の孫、稀代の聖職者として。
ホークアイは砂漠の王国ナバール、王の良き右腕、実力者として。
ただ、素直に祝福できるかといえば……複雑だった。
一緒に旅をした仲間。かけがえのない友。それぞれの国の重鎮たちより、彼らのことは知っている。
そしてそれぞれが思ったこと。考えたこと。
彼女は何故踏み切れたのだろう? 不安にならなかったのだろうか。
彼は何故承諾したのだろう? 自分のことを知っていながら、迷いはしなかったのか。
そして……彼女の想いはどうなるのだろう? 絶望を目の前にして、祝宴に現れるのか。
それぞれが頭を悩ませながら、それでも返事をしたためていた。
『草原の王国フォルセナ・黄金の騎士デュランと魔法王国アルテナ・王女アンジェラの結婚式に出席する』と。